請戸橋から請戸小方向 高解像度画像:5616×3744 6.1MB
請戸橋から海岸方向 高解像度画像:5616×3744 4.3MB
こちらから、さらに高いところからの画像が見られます。 CubicVR
この撮影日は、原発から半径20km以内は避難指示が出されています。
既に警戒区域(関係者以外立ち入り禁止)の検討に入っているとの事ですので、最初で最後の撮影になる可能性があると判断し現場に入りました。
避難民の方の感情も配慮すると撮影・公開には悩みました。
その結果は公開という決断になりました。
この判断に関しては、ページの下部にて述べさせて頂きます。
ここに至るまでの市街地では空き巣の形跡。さらに、瓦礫の中には開けられた金庫。
財産と人命のどちらが大切かは、簡単に判断出来ます。
原発が不安定であった頃に、パトロールをして欲しいなどとは意見しません。
しかし・・・
立ち入る者を完全に排除することは出来なかったのでしょうか?
この撮影日は2011年4月16日。
3月11日から一ヶ月以上が経過しています。
初期の「制御不能」な状態から「予測可能」な状態に進展しています。
放射性物質の外部流失量からレベル7と発表されています。
徐々に放射線量も下がってきたいることから、半径20km以内にも被災された方が自宅の確認などに戻っていると報道されています。
それも理由のひとつかと思いますが、この時点では警戒区域への格上げ検討を行っている段階です。
この場所は、3日前に行方不明者捜索が行われています。撮影当日は、この場所からさらに1kmほど原発よりの場所で捜索が行われたようです。
報道もされていますが、捜索にあたっているのは警察の方々。
この震災では、広範囲且つ長期にわたって様々な方が捜索や復旧に携わっています。
特に捜索に携わる方々には、最大限の敬意を祓います。
景色の中には、木造住宅が原型を留めています。
流されてきた建物もありますが、元々の位置から動いていない建物もあります。
電信柱・橋・アスファルトが原型を留めていることから三陸海岸に押し寄せた津波よりは破壊するパワーは少ない事がわかります。
この場所なら、RC造の3階でも避難場所として機能するかもしれません。
このどちらかに該当するなら、公開(撮影)には至りませんでした。
バルーン空撮を義援にしようと考えた段階から、様々なリスクは覚悟しています。
このリスクを犯しても、次の震災の際の被害を少しでも下げる事が目的のひとつです。
衛星画像や航空写真の画質は、飛躍的に向上しています。今回の震災では過去に考えられなかった莫大な映像資料が蓄えられることになります。
今後の災害対策で、これらの資料が役立つことは間違いありません。
衛星写真や航空写真が防災資料。
バルーン空撮は記憶に訴える空撮。
数百年後の子孫が、より低い位置への備えのない住居の建築を留まってくれれば、この撮影の意味はあると考えています。
この価値と、リスクを天秤に掛けての決断です。
今回の目的は、女川町立病院付近での津波の高さで空撮CubicVR。
このホームページのトップページにも、女川町から南下していくスケジュールにて撮影予定を公開していました。
徹夜で山梨から女川町に向かっていましたが・・・
ここで、計算ミスが入ります。東北道が福島西で事故により通行止めになってしました。
この日の撮影可能時間は、日の出から11時まで。
限られた時間を有効につかうために、撮影目的地を福島西ICから近い南相馬市に切り替えました。
南相馬市に切り替えたのは、半径30kmなどを警戒区域とされると、以降の撮影ができないという観点から。
検問で止められるギリギリのところで、「検問と一緒に撮影を行う」がこの日の目的になりました。
まずは、検問でファーストショット。
そこから、風が吹き始めるまで、北上というのが修正されたスケジュールです。
撮影候補地を探しながら南下します。
結果として、何の障害もなく浪江町に入れてしまった事に驚いていました。
検問もなく、報道で見ていた防護服を着ているような方も一人もいませんでした。
※理由は、早朝である為。
私もカメラマンの端くれです。
撮影出来るチャンスが目の前にあって、それを捨てる事は出来ません。
確実に原発に近づいてしまったという意識はありましたが、事前の知識(海岸線は放射線量が低い)を頼りに撮影に挑みます。
なお、周辺住民と思われる方々の自動車が、時折走っています。
その際に、偶然に請戸地区に通じる道を見付けてしまいました。
その道は、地元を知らなければわからない様な細い道です。
そして、たどり着いた場所になります。
この日の浪江町の撮影では、貴重な経験を積むことが出来ました。
原発の避難指示により、この場所は震災の時の姿を残しています。
これにより津波の直後でも、徒歩でなら瓦礫の中でもバルーン空撮が可能であるという証明が出来ました。
このバルーンには2.5kgまでの機材なら搭載可能です。
津波の被害があった地域なら最大風速10m/sでも、丸一日飛ぶことも出来ます。
平時はコンパクトに畳むことが出来て、完全な無音で活動が出来ます。
つまり、カメラの代わりに何かを上空100mに留めることによって助けられる命は無いだろうか・・・
これが、私の最終目標と言えそうです。